2007年 09月 07日
台風一家がやってきた。不可思議な高揚感は危険水域、そして台風一過。 |
こんなことを言ったら、不謹慎とか人間性を疑うとか思われると思う。
私は台風が好きだ。
もちろん、天災は恐ろしいし、被害が出るということについてはやはり心が痛むけれど、季節変わり目の雷の伴う気まぐれな嵐とは違う。
なんだかわからないけれど、みんが台風に備えて帰宅を急いだり予定を変更するところなんかが、“社会的に認められている特別な日”ようで不可思議な高揚感がある。
気象レーダーで台風の位置を確かめる。
あと2時間で関東にやってくる。
まるでひとつの厄介な家族がやってくるようで、こちらはその嫌われた一家に一晩中付き合うのだ。
いよいよ風が強まってきて、窓を執拗に叩きつける。私はベランダの窓から夜中じゅう暴れ立てる台風一家を迎え入れて騒がしい宴会を繰り広げる。
ちょっと朝までは付き合えないわ、と台風の主に告げて、私は宴会を途中で切り上げる。
そんな台風の夜、寝しなに思うのは、野良猫のことと、川の様子だ。
台風の日、野良猫はどこにいるんだろう。。。
大きなお屋敷の縁の下で、野良犬ドン松五郎の指示に従って、協調性に欠ける野良猫はこんな日くらいは団結してもいいかもしれない。きっと今夜は仕方なく避難所で集団でいるんだろうと思う。
小学生のころ先生が大きな川から20メートルくらい離れた堤防をさして、「氾濫に備えて二重堤防にしているんです」と言ったのを思い出す。“氾濫”という意味がよくわからなかったけれど、子供心に想像した川の氾濫は地球滅亡と同じくらい驚異的なもので恐怖に怯えたものだった。
今頃はその第2の堤防まで川は溢れているんじゃないか、と思ったら、なかなか寝付けなかった。よりによってこんな台風の日に川を見に行くことなんてないじゃないか、と翌日に川で行方不明になる人がいるけれど、私は彼らに強く同情し共感したりする。
私はきっと彼らとこの微妙な感覚についてコーヒーを飲みながら何時間も語り合うことができると思うし、とても親密な関係にさえなれるような気がする。
そして私は彼らに言うだろう。
「今日のところはぐっと堪えて、明日、台風が去った後、一緒に見にいきましょう」と。
今朝は交通の混乱を考えていつもより早めに家を出た。
最寄の駅では予想通り、途方にくれた乗客たちで溢れかえっていた。
ようやく乗った各駅停車の在来線。勤め先のある東京が、今日ほど遠い存在に思えたのは初めてだった。
電車が大きな川にさしかかるとき、座っている乗客は首を回して、立っている乗客はつり革をめい一杯引き寄せて、一斉に窓の外に目をやった。
みんな川の様子が気になるようだ。
そして今朝、いつもの野良猫はいなかった。
*********************************************************
台風一家は東北へ旅立って行った。
私は通勤に4時間かけても東京へはたどり着けず、出社を断念した。
(みなさんご迷惑をおかけしました。)
台風一過。
私は台風一家とは逆方向へ旅に出ます。
(みなさんご迷惑をおかけします。)
私は台風が好きだ。
もちろん、天災は恐ろしいし、被害が出るということについてはやはり心が痛むけれど、季節変わり目の雷の伴う気まぐれな嵐とは違う。
なんだかわからないけれど、みんが台風に備えて帰宅を急いだり予定を変更するところなんかが、“社会的に認められている特別な日”ようで不可思議な高揚感がある。
気象レーダーで台風の位置を確かめる。
あと2時間で関東にやってくる。
まるでひとつの厄介な家族がやってくるようで、こちらはその嫌われた一家に一晩中付き合うのだ。
いよいよ風が強まってきて、窓を執拗に叩きつける。私はベランダの窓から夜中じゅう暴れ立てる台風一家を迎え入れて騒がしい宴会を繰り広げる。
ちょっと朝までは付き合えないわ、と台風の主に告げて、私は宴会を途中で切り上げる。
そんな台風の夜、寝しなに思うのは、野良猫のことと、川の様子だ。
台風の日、野良猫はどこにいるんだろう。。。
大きなお屋敷の縁の下で、野良犬ドン松五郎の指示に従って、協調性に欠ける野良猫はこんな日くらいは団結してもいいかもしれない。きっと今夜は仕方なく避難所で集団でいるんだろうと思う。
小学生のころ先生が大きな川から20メートルくらい離れた堤防をさして、「氾濫に備えて二重堤防にしているんです」と言ったのを思い出す。“氾濫”という意味がよくわからなかったけれど、子供心に想像した川の氾濫は地球滅亡と同じくらい驚異的なもので恐怖に怯えたものだった。
今頃はその第2の堤防まで川は溢れているんじゃないか、と思ったら、なかなか寝付けなかった。よりによってこんな台風の日に川を見に行くことなんてないじゃないか、と翌日に川で行方不明になる人がいるけれど、私は彼らに強く同情し共感したりする。
私はきっと彼らとこの微妙な感覚についてコーヒーを飲みながら何時間も語り合うことができると思うし、とても親密な関係にさえなれるような気がする。
そして私は彼らに言うだろう。
「今日のところはぐっと堪えて、明日、台風が去った後、一緒に見にいきましょう」と。
今朝は交通の混乱を考えていつもより早めに家を出た。
最寄の駅では予想通り、途方にくれた乗客たちで溢れかえっていた。
ようやく乗った各駅停車の在来線。勤め先のある東京が、今日ほど遠い存在に思えたのは初めてだった。
電車が大きな川にさしかかるとき、座っている乗客は首を回して、立っている乗客はつり革をめい一杯引き寄せて、一斉に窓の外に目をやった。
みんな川の様子が気になるようだ。
そして今朝、いつもの野良猫はいなかった。
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台風一家は東北へ旅立って行った。
私は通勤に4時間かけても東京へはたどり着けず、出社を断念した。
(みなさんご迷惑をおかけしました。)
台風一過。
私は台風一家とは逆方向へ旅に出ます。
(みなさんご迷惑をおかけします。)
by natsu-daisuki
| 2007-09-07 22:04