2015年 02月 21日
◆母娘フランス放浪記◆ゴッホ終焉の地へ |
言わずと知れた印象派の巨匠ゴッホ。27歳で画家になることを志し、37歳という若さでこの世を去りました。10年はあまりにも短く、そして10年であまりにも多くの作品を残し、その数は2千点にも及ぶと言われています。そしてそのほとんどがゴッホの死後に世に知れ渡る名画となるのです。
パリ中心地から北西25kmほどのところにあるオーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)という村は、ゴッホゆかりの地として知られています。ピストル自殺をするまでの最後の約3か月を過ごした場所であり、ゴッホの魂が眠る場所です。私は今回が二回目。またここを訪れるとは思ってもいませんでした。
1890年の5月、ゴッホは精神科のガシェ医師の住むこのオーヴェルへやってきました。住まいとなったのは、村のメイン通りに面したラヴー亭(Auberge Ravoux)の屋根裏部屋。ピンクの可愛らしい建物は19世紀半ばの建築物で、ゴッホがいた当時、ここはラヴー家が営む旅館でした。ラヴー家の長女を描いた作品も残っています。同じ年の7月27日、ゴッホは屋外でピストル自殺を図り、歩いてこの旅館まで帰ってきました。そしてその二日後にここで息を引き取りました。
その後ラヴー亭は幾度かのオーナーチェンジを経て、現在はレストランとして営業しています。ゴッホの部屋は当時の姿に復元されており見学可能です。
通りを挟んだラヴー亭の向かいにはゴッホの描いた村役場があります。
ゴッホはこの村での短い時間において、80枚以上の油絵と64枚の素描を残しており、その数からもここがゴッホにとって思い入れ深く特別な場所であったことが伺い知れます。ゴッホが最愛の弟テオに宛てた手紙には、「オーヴェルは実に美しい。特徴があって絵になる本当の田舎だ」と記されています。
また、近くのゴッホの墓を訪れると、兄弟仲良く隣り合わせに眠っていて、彼らのこの地への愛情の深さを実感します。ちなみに弟テオは、ゴッホの死後翌年1891年1月に兄を追うようにして亡くなりました。
彼らの眠る墓地の裏手には広大な麦畑が広がっています。私がここを初めて訪れたのは霧雨煙る薄暗い3月のことで、見通し悪くこれほど遠くまで田畑が繰り広げられてるなんてその時は知りませんでした。訪れるならよく晴れた空気の澄んだ季節がおすすめです。折り重なった緑の層がどこまでも続いています。
オーヴェルで描かれた作品の中で最も有名なのは「オーヴェルの教会」。教科書などでよく目にすることのあるゴッホ代表作のひとつです。13世紀頃に建てられた石造りの教会で、ゴッホが描いたままの姿で今も存在します。
観光案内所、ラヴー亭、村役場、オーヴェルの教会(ノートルダム教会)、ゴッホとテオの墓地、麦畑は駅から徒歩圏内なので気軽な散策におすすめです。村を見渡せる高台に建つのがオーヴェル・シュル・オワーズ城(Château d'Auvers-sur-Oise)。17世紀にイタリアの裕福な銀行家によって建設されました。城内には「印象派時代の旅」と題された展示もあり、ゴッホのみならずこの村にゆかりのあるセザンヌやコローといった多くの画家の歴史にも触れることができます。
■オーヴェル・シュル・オワーズへのアクセス
パリ、サン・ラザール駅(Saint-Lazare)からポントワーズ(Pontoise)で下車、オーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)方面に乗り換えオーヴェル駅(Gare d'Auvers)下車。あるいはパリ、北駅(Gare du Nord )からヴァルモンドワ駅(Valmondois)で下車、オーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)方面に乗り換えオーヴェル駅(Gare d'Auvers)下車。いずれもパリから40分程度。
列車本数が少ないのと中継地での待ち時間が長いため時刻表の確認が必要です。予めパリからオーヴェル・シュル・オワーズまでの切符を購入するより、中継地までの切符にしておけば、待ち時間に改札を出られるので構内で退屈な時間を過ごす必要がなくて良いかと思います。私たちはポントワーズ駅でオーヴェル・シュル・オワーズ行きの列車をプラットフォームのベンチで約50分ほど待ちました。持ち合わせは「地球の歩き方」のみ。いい加減、飽きました。
■オーヴェル・シュル・オワーズの主な作品
「人物のいるオーヴェルの村の通りと階段」1890年5月:セントルイス美術館
「オーヴェルの眺め」1890年5月:ゴッホ美術館
「オーヴェルのガシェ医師の庭」1890年5月:オルセー美術館
「医師ガシェの肖像」1890年6月:オルセー美術館
「オーヴェルの教会」1890年6月:オルセー美術館
「わらぶき屋根の家々」1890年6月:オルセー美術館
「2人の子供」1890年6月:オルセー美術館
「アドリーヌ・ラヴーの肖像」1890年6月:クリーブランド美術館
「オーヴェルの城館のある日没の風景」1890年6月:ゴッホ美術館
「荒れ模様の空の麦畑」1890年7月:ゴッホ美術館
「オーヴェル町役場の眺め」1890年7月:個人コレクション
「夜の白い家」1890年6月:エルミタージュ美術館
「カラスのいる麦畑」1890年7月:ゴッホ美術館
「ドービニーの庭」1890年7月:バーゼル市立美術館
パリ中心地から北西25kmほどのところにあるオーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)という村は、ゴッホゆかりの地として知られています。ピストル自殺をするまでの最後の約3か月を過ごした場所であり、ゴッホの魂が眠る場所です。私は今回が二回目。またここを訪れるとは思ってもいませんでした。
1890年の5月、ゴッホは精神科のガシェ医師の住むこのオーヴェルへやってきました。住まいとなったのは、村のメイン通りに面したラヴー亭(Auberge Ravoux)の屋根裏部屋。ピンクの可愛らしい建物は19世紀半ばの建築物で、ゴッホがいた当時、ここはラヴー家が営む旅館でした。ラヴー家の長女を描いた作品も残っています。同じ年の7月27日、ゴッホは屋外でピストル自殺を図り、歩いてこの旅館まで帰ってきました。そしてその二日後にここで息を引き取りました。
その後ラヴー亭は幾度かのオーナーチェンジを経て、現在はレストランとして営業しています。ゴッホの部屋は当時の姿に復元されており見学可能です。
通りを挟んだラヴー亭の向かいにはゴッホの描いた村役場があります。
ゴッホはこの村での短い時間において、80枚以上の油絵と64枚の素描を残しており、その数からもここがゴッホにとって思い入れ深く特別な場所であったことが伺い知れます。ゴッホが最愛の弟テオに宛てた手紙には、「オーヴェルは実に美しい。特徴があって絵になる本当の田舎だ」と記されています。
また、近くのゴッホの墓を訪れると、兄弟仲良く隣り合わせに眠っていて、彼らのこの地への愛情の深さを実感します。ちなみに弟テオは、ゴッホの死後翌年1891年1月に兄を追うようにして亡くなりました。
彼らの眠る墓地の裏手には広大な麦畑が広がっています。私がここを初めて訪れたのは霧雨煙る薄暗い3月のことで、見通し悪くこれほど遠くまで田畑が繰り広げられてるなんてその時は知りませんでした。訪れるならよく晴れた空気の澄んだ季節がおすすめです。折り重なった緑の層がどこまでも続いています。
オーヴェルで描かれた作品の中で最も有名なのは「オーヴェルの教会」。教科書などでよく目にすることのあるゴッホ代表作のひとつです。13世紀頃に建てられた石造りの教会で、ゴッホが描いたままの姿で今も存在します。
観光案内所、ラヴー亭、村役場、オーヴェルの教会(ノートルダム教会)、ゴッホとテオの墓地、麦畑は駅から徒歩圏内なので気軽な散策におすすめです。村を見渡せる高台に建つのがオーヴェル・シュル・オワーズ城(Château d'Auvers-sur-Oise)。17世紀にイタリアの裕福な銀行家によって建設されました。城内には「印象派時代の旅」と題された展示もあり、ゴッホのみならずこの村にゆかりのあるセザンヌやコローといった多くの画家の歴史にも触れることができます。
■オーヴェル・シュル・オワーズへのアクセス
パリ、サン・ラザール駅(Saint-Lazare)からポントワーズ(Pontoise)で下車、オーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)方面に乗り換えオーヴェル駅(Gare d'Auvers)下車。あるいはパリ、北駅(Gare du Nord )からヴァルモンドワ駅(Valmondois)で下車、オーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)方面に乗り換えオーヴェル駅(Gare d'Auvers)下車。いずれもパリから40分程度。
列車本数が少ないのと中継地での待ち時間が長いため時刻表の確認が必要です。予めパリからオーヴェル・シュル・オワーズまでの切符を購入するより、中継地までの切符にしておけば、待ち時間に改札を出られるので構内で退屈な時間を過ごす必要がなくて良いかと思います。私たちはポントワーズ駅でオーヴェル・シュル・オワーズ行きの列車をプラットフォームのベンチで約50分ほど待ちました。持ち合わせは「地球の歩き方」のみ。いい加減、飽きました。
■オーヴェル・シュル・オワーズの主な作品
「人物のいるオーヴェルの村の通りと階段」1890年5月:セントルイス美術館
「オーヴェルの眺め」1890年5月:ゴッホ美術館
「オーヴェルのガシェ医師の庭」1890年5月:オルセー美術館
「医師ガシェの肖像」1890年6月:オルセー美術館
「オーヴェルの教会」1890年6月:オルセー美術館
「わらぶき屋根の家々」1890年6月:オルセー美術館
「2人の子供」1890年6月:オルセー美術館
「アドリーヌ・ラヴーの肖像」1890年6月:クリーブランド美術館
「オーヴェルの城館のある日没の風景」1890年6月:ゴッホ美術館
「荒れ模様の空の麦畑」1890年7月:ゴッホ美術館
「オーヴェル町役場の眺め」1890年7月:個人コレクション
「夜の白い家」1890年6月:エルミタージュ美術館
「カラスのいる麦畑」1890年7月:ゴッホ美術館
「ドービニーの庭」1890年7月:バーゼル市立美術館
by natsu-daisuki
| 2015-02-21 00:00
| ▪️フランス